中小企業の総務経理がやるべきDX化ステップ|失敗しない導入ポイント

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総務経理におけるDXとは?

総務経理のDXとは、デジタル技術を活用して、業務プロセスを効率化し、生産性を高める取り組みのことです。紙の業務、Excel作業、手入力中心のフローが多い総務経理では、とくにDXの効果が出やすい領域と言われています。

例えば、次のような業務がDXの対象になります。

  • 経費精算の電子化
  • 請求書の電子発行・電子受領
  • 勤怠管理の自動化
  • 社内申請(稟議、契約書)のワークフロー化
  • 帳票・書類管理のクラウド化

これらに取り組むことで、ヒューマンエラー防止・業務時間の削減・管理コストの圧縮が期待できます。

中小企業がDXを進めるべき理由

中小企業の総務経理でDXが求められる理由は、大きく3つあります。

1. 人手不足の慢性化

総務経理は専門性が高いうえ、採用が難しい職種です。人員を増やすだけでは限界があるため、DX化により、少人数でも回る仕組みづくりをすることが重要です。

2. インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

近年の法改正により、これまでの紙中心業務では限界が生じています。とくにインボイス制度や電子帳簿保存法への対応は、デジタル化を前提とした仕組み作りが必要になってきています。

3. コスト削減とミスの防止

手作業やExcel集計はミスが増えやすく、チェック工数もかかります。DXにより、担当者が行う作業を「入力作業」から「確認作業」へシフトすることで、残業削減や業務負荷の軽減が期待できます。

総務経理DXを成功させる5つのステップ

STEP1:現状業務を可視化する

最初に、現在の業務を洗い出して可視化します。

  • 誰が、どの業務を、どのツールで行っているか
  • 1つの業務にどれだけ時間がかかっているか
  • ボトルネックになっている作業はどこか
  • 重複している業務やムダなフローがないか

最初に「現状把握」をすることで、どの業務からDXに着手すべきかが明確になります。

STEP2:優先順位を決める

すべてを一度にDX化する必要はありません。コストと効果のバランスを見て、次の観点で優先順位をつけましょう。

  • 業務量が多い作業(経費精算・請求書処理など)
  • ミスが起きやすい作業(手入力が多い業務)
  • 法改正対応が必須の業務(インボイス制度・電子帳簿保存法対応など)

影響範囲が大きく、かつ改善効果が見えやすい業務から着手すると、社内の理解も得やすくなります。

STEP3:目的に合ったツールを比較検討する

次に、目的に合ったクラウドサービスやツールを比較・検討します。代表的な例としては、以下のようなものがあります。

  • 経費精算システム:freee、マネーフォワード、楽楽精算 など
  • 請求書管理システム:Bill One、MakeLeaps など
  • 勤怠管理システム:KING OF TIME、ジョブカン など
  • ワークフロー・申請:kintone、クラウドサイン など

単に機能の多さだけでなく、操作性・費用感・導入サポート体制を確認することが重要です。中小企業の場合、現場の担当者が無理なく使えるかどうかが定着のカギになります。

STEP4:小さく始めて段階的に広げる

いきなり全社・全業務をDX化しようとすると、現場の負担が大きくなり、失敗の原因になります。まずは、次のような形で「小さく始める」のがおすすめです。

  • 経費精算だけ先にクラウド化する
  • 紙の請求書のスキャン&アップロードから始める
  • 一部の部署だけテスト導入する

小さく始めて、効果や課題を確認しながら、徐々に対象業務や対象部署を広げていくことで、スムーズなDX推進が可能になります。

STEP5:社員教育と運用ルールを整える

DXは、ツールを導入すれば終わりではありません。実際に社内で使いこなしてもらうためには、次のような取り組みが必要です。

  • 操作説明会や研修の実施
  • 社内マニュアル・手順書の作成
  • よくある質問(FAQ)の共有
  • 提出期限や承認フローなどの運用ルール整備

「なぜこのツールを導入するのか」「どんなメリットがあるのか」を丁寧に伝えることで、社員からの抵抗感を抑え、スムーズな浸透につながります。

DX化でよくある失敗とその回避方法

失敗例1:ツールの機能だけで選んでしまう

カタログやWebサイト上の機能だけを見てツールを選ぶと、「自社の業務フローには合わなかった」というケースが起こりがちです。

回避策:ツール選定の前に、自社の課題や目的を明確にし、「自社の業務プロセスに合うか」を最優先でチェックしましょう。無料トライアルやデモを活用し、実際の画面や操作感を確認することも重要です。

失敗例2:現場が使いこなせず定着しない

「良いツールを入れたのに、結局ほとんど使われていない」というのもよくある失敗です。操作が難しかったり、説明不足だったりすると現場は元のやり方に戻りたくなります。

回避策:導入前後にしっかりと説明・研修を行い、質問しやすい窓口やチャットを用意しておきましょう。最初は担当者が並走してサポートすることで、現場の不安を取り除けます。

失敗例3:業務フローが複雑なままでシステムだけ変える

紙やExcelのときの複雑なフローをそのままシステムに置き換えると、かえって運用が煩雑になることがあります。

回避策:DX化のタイミングで、承認ステップやチェック項目を見直し、シンプルなフローに再設計してからシステムに落とし込むことが大切です。

まとめ|総務経理のDXは「小さく始めて大きく育てる」

総務経理のDX化は、業務時間の削減だけでなく、ヒューマンエラーの防止や法改正へのスムーズな対応にもつながります。人手不足が続く中小企業にとっては、今後ますます重要な取り組みとなるでしょう。

とはいえ、いきなりすべてを変えようとすると現場に負担がかかります。まずは現状業務の洗い出しから始め、優先度の高い業務を選び、小さく始めて段階的に広げていくことが成功のポイントです。

「どこから手をつければいいか分からない」という場合は、経費精算や請求書処理など、頻度が高くて効果が見えやすい業務からDX化を検討してみてください。

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